文明がまだ科学的な発展を見せる前の時代。力と知力がものを言う時代。権力が全てを支配していた時代。
『朝陽(あさひ)』という国では、それを治める大領主の暴力と圧政に民は苦しんでいた。
国を細かく区切った七つの『国点(こくてん)』それぞれに領主が席を置き、私利私欲を貪っており、
民は税を、身体を、時間を、領主と大領主に捧げるほかになかった。
人ひとりでは賄えない重い税。際限のない重労働。
心身の酷使についていけず、命を落とす人々が後を絶えなかった。
これは、この世界の在り方に憤りを覚えた少女『小夜(さや)』の、命を賭けた物語である。